雑所得同士で損益通算できる?仮想通貨取引で損失が発生したときの確定申告と税金対策

マイナスなら損益通算できる?仮想通貨取引で損失発生時の確定申告
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仮想通貨(暗号資産 以降は、仮想通貨と表記)による所得には税金がかかり、確定申告が必要です。
ただし、損失だけの場合はどうなるのでしょうか?

そこでこの記事では、仮想通貨取引で損失が出た場合の確定申告で知っておくべきことについて紹介します。

目次

仮想通貨取引で損失のみでも確定申告は必要?

そもそも仮想通貨取引で生じたのが損失のみの場合、確定申告は必要なのでしょうか。
仮想通貨に関する税金や確定申告の基本からお伝えします。

仮想通貨取引による収入区分は雑所得

まず前提として、個人での仮想通貨取引による所得は雑所得に分類されます。
雑所得の特徴は以下の通りです。

  • 総合課税の対象
  • 給与所得などの他所得との合計金額に応じて税率が変化
  • 所得額が大きくなるほど税率が高くなる累進課税を採用
  • 仮想通貨取引による損失は給与所得などの他所得区分の所得から差し引けない
  • 損失を翌年に繰り越せない

仮想通貨取引で生じた損益は雑所得に該当するため、損失のみの場合でも雑所得に関する税制のルールに従って処理することになります。

仮想通貨取引で生じた損失だけなら確定申告は原則不要

仮想通貨の確定申告は下記の条件を満たすと原則不要です。

  • 年末時点での仮想通貨取引のみで損失が発生(所得がマイナスのみ)
  • 仮想通貨取引で得た利益から各経費を引いた「所得」が20万円以下

ただし不動産所得など他の所得がある、もしくは医療費控除などを受ける場合は、確定申告をしなければいけません。
仮に仮想通貨の利益が20万円以下であったとしても、雑所得の欄にその所得額を記載しましょう。

損失のみの場合は原則記載する必要はありません。
FX取引による利益などその他に雑所得に該当する所得がある場合、確定申告が必要になる可能性があるためご留意ください。
また、申告においては、雑所得内であれば仮想通貨取引による損失を相殺可能です。
2022年のように仮想通貨市場全体が下落傾向にある市場環境では、多くの方に損失が出ているかもしれません。
損失発生時の税金対策は把握しておきましょう。

仮想通貨の税金計算はGtax

仮想通貨取引で損失が出たときに知っておくべき基礎知識

仮想通貨取引で損失が出ているときこそ、税金対策はきちんと考えなければいけません。

知っておくだけで翌年度以降の税額を相対的に低くできるため、処理の仕組みを理解しておきましょう。

仮想通貨の損失は雑所得内で損益通算できる

その他の雑所得で利益が発生しているものの、仮想通貨取引で損失が発生している場合、雑所得内であれば損益通算が可能です。

損益通算とは、一定期間の利益と損失を相殺すること。主に株式が不動産投資などで広く使われる計算です。

損益計算のメリットは節税対策が可能なこと。
雑所得は「収入から必要経費を引いたもの」で算出されるため控除はありません。

よって、損益通算を行えば申告する雑所得を減額することができ、実質的な税金対策につながります。

例えば、仮想通貨取引で下記のような結果となったケースで解説しましょう。

  • FX取引:20万円の利益
  • 仮想通貨取引:50万円の含み損

このケースにおいて、仮想通貨取引で生じた含み損の中から20万円分の損失を確定させると、FX取引による利益と相殺してゼロとなります。

なお仮想通貨取引による損益の通算は、雑所得同士でなければいけません。
その他の給与所得や不動産所得、事業所得などとは通算できないため注意してください。

計算方法によって所得額が異なる可能性があるため要注意

まず、市場の動向などから体感的に損失が出ているだろうという判断をせず、必ず正確な損益計算を行いましょう。
体感では利益が出ていないと思った場合でも、採用する計算方法によって所得額が大きく異なる場合があります。

仮想通貨取引の所得計算に用いられる手法は移動平均法と総平均法の大きく2種類。
移動平均法は計算が複雑であるものの、比較的体感に近い所得金額が算出できます。

一方、計算が比較的簡単な総平均法は、仮想通貨の市場の動きによっては体感と大きく乖離した所得金額になるケースも少なくありません。

なお、国税庁は移動平均法の選択を原則としていますが、継続して適用することを条件に総平均法の利用が認められています。
上記のように、総平均法での計算結果は体感の所得額と異なるケースがあるので注意しましょう。

決して体感では判断せず、必ず正確な所得額を把握してください。

損失を年またぎで持ち越すことは不可能

仮想通貨の取引により発生する雑所得の損失は、翌年に繰り越せません。
よって、当年度に多くの損失を出しておくよりは、先に利確をして翌年度以降に発生する可能性のある所得を抑える対策の実施が望ましいでしょう。

そのため、仮想通貨取引により損失が発生した場合かつ、他に含み益がある通貨を保有しているなら、利益を確定させて実現損益をできるだけゼロに近づけておくと税金対策につながります。

移動平均法の場合は売った通貨をそのまま買い戻しても損益に影響しませんが、総平均法では同年度内の買い戻しによって1年間での取得原価が変化するため、意図した結果とは相違してくる可能性があります。

*1 含み益:通貨は値上がりしていているが売却せず未だ確定していない利益のこと
*2 取得原価:仮想通貨を取得するときに支払った金額(手数料等含む)

例えば、2022年に20万円の(実現)損失があるとして、同時に年末に20万円の含み益があるとします。

年内に利益確定の処理をせず、年越し後に同じ価格で売却した場合
課税対象額

2022年:0円(20万円の損失があるので)
2023年:20万円(20万円分含み益を実現したので)

通算の損益

マイナス20万円(2022年) + 20万円(2023年) = 0円

年内に利益確定の処理をした場合
課税対象額

2022年:0円(含み益が実現されて損失と相殺)
2023年:0円(取引なし)

通算の損益

0円(2022年) + 0円(2023年) = 0円

通算の損益額は0円ですが、前者の場合2022年に20万円分の税金が課されます。
一方、後者の場合は税金が課されず0円のままになるため、年内に利確したほうが節税になると言えるでしょう。

確定申告のために正確な損益額を把握しておくこと

価格変動の大きい仮想通貨への投資では、損失発生リスクは避けられません。
しかし、これまでに紹介したように損失が出ている時にも確定申告や税金対策のためにできることはいくつかあります。

その中でもまず、ご自身が行った取引からいくら損益が出ているか、現状保有している通貨の価値はいくらなのかの適切な把握が大切です。

なお、仮想通貨の利益が年をまたぐ場合、平均取得単価は翌年に引き継がれます。
こうした細かな点も把握しておくと良いでしょう。

申告漏れは罰則の対象であるため、正確な計算が必要です。
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