仮想通貨にかかる日本の税率は高い?海外との違いや税制改正の動きについて解説

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暗号資産(以下、仮想通貨)の税率は国によって異なります。

日本の場合、仮想通貨を保有しているだけでは税金はかかりませんが、取引などをおこなうと税金がかかります。
その税率は最大で55%にも上るため、決して低いとはいえません。

そこでこの記事では、日本と海外の税率や改正について解説します。
仮想通貨を取引している方はぜひ参考にしてください。

目次

日本の仮想通貨の税率は?

日本の仮想通貨の税率は、所得税と住民税等を合わせて最大で55%になります。

まず、仮想通貨の売買などで得た利益には、所得税がかかります。
所得税は、給与所得や譲渡所得など10種類ありますが、仮想通貨の利益は、このうち「雑所得」に分類されます。

所得の種類概要
利子所得預貯金や公社債の利子、合同運用信託、公社債投資信託の収益の分配に係る所得
配当所得株主や出資者が法人から受ける配当や投資信託の収益の分配などに係る所得
不動産所得土地や建物などの不動産、借地権などの権利、船舶や航空機の貸付による所得
事業所得農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生じる所得
給与所得勤務先から受ける給料、賞与などの所得
退職所得退職により勤務先から受ける退職手当や厚生年金基金などの加入員の退職に基因してい支払われる一時金などの所得
山林所得山林を伐採して譲渡したり、立木のまま譲渡することで生じる所得
譲渡所得土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得、建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得で一定のもの
一時所得利子所得から譲渡所得までのいずれにも該当しないもので、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外のもの
雑所得上記のいずれにも該当しない所得例)・公的年金・副業に係る所得 など
参考:No.1300 所得の区分のあらまし|国税庁

雑所得は、総合課税となっており、給与所得など他の収入と合算した所得額に応じて税率が決まります。

課税される所得金額税率控除額
1,000円から1,949,000円まで5%0円
1,950,000円から3,299,000円まで10%97,500円
3,330,000円から6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」

さらに所得税は、所得が上がるにつれ税率も高くなる仕組み(累進課税)となっているため、仮想通貨の利益が大きく、所得が増えると税率は最大45%までアップします。

そこに10%の住民税が加わるため、最大で55%もの高い税率になってしまうのです。

仮想通貨の税率 = 雑所得「最大45%」+ 住民税「10%」=最大55%

海外の仮想通貨取引を利用した場合は?

海外の仮想通貨取引所を利用している場合でも、日本に住んでいる限り、日本の税法が適用されます。
居住者とは、日本国内に「住所」がある人、または現在まで引き続いて1年以上「居所」がある人を指します。

参考:No.2012 居住者・非居住者の判定|国税庁

海外取引所を利用していたとしても、仮想通貨による所得が20万円を超える場合には、確定申告をしましょう。

「海外取引所での取引だから確定申告しなくてもバレないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、送金履歴や出金履歴、クレジットカードの利用履歴などから、申告漏れを疑われる可能性があります。

また、必要とあれば国税庁は、各国に情報の収集や提供を要請できるため、そこから申告漏れを指摘される可能性も考えられます。

日本で仮想通貨をしている際は、国内・海外問わず仮想通貨で得た所得が20万円を超えたら確定申告が必要です。

仮想通貨の税率が低い海外諸国

では、海外の税率はどのくらいなのでしょうか。

ここでは、税率が比較的低めの国を紹介します。

シンガポール

シンガポールでは原則、株式や仮想通貨の売買で得たキャピタルゲイン(売却益)が非課税となっています。
また、シンガポールも所得税の税率には累進課税が採用されていますが、最高税率は24%となっており、45%の日本と比べて約半分ほどです。

マレーシア

マレーシアも累進課税が適用されていますが、最高税率は30%と日本より低くなっています。
「住民税」にあたる税金がない点も魅力的といえるでしょう。

個人の仮想通貨取引で得たキャピタルゲインも基本的に非課税となっています。

韓国

韓国では、仮想通貨によるキャピタルゲインが非課税となっています。
ただ、将来的には20%の課税が計画されており、2025年に施行予定であると報じられているようです。

韓国での仮想通貨取引を考えている場合は、今後の動きに注意する必要があるかもしれません。

ドバイ

ドバイは、所得税や住民税などがなく、無税の国として知られています。
仮想通貨取引での利益も課税されないため、個人投資家にとって魅力的な国といえるでしょう。

なお、2023年6月からはとうとう法人税が導入され、法人の場合は9%の税金がかかりました。

ドイツ

ドイツの所得税法では、「資産の取得から売却までの期間が1年以上の場合、利益が非課税になる」という規定があります。
仮想通貨にも適用されており、キャピタルゲイン税がかかりません。

ただ、すべてにおいて適用されるわけではありません。
たとえば「仮想通貨での支払い」などをした場合は、所得税の課税対象になる場合があります。

スイス

スイスは税金が安い国として知られており、仮想通貨投資家の移住先候補となるケースが珍しくありません。

個人の仮想通貨取引で得たキャピタルゲインは非課税であるほか、仮想通貨に関する取り組みも進んでおり、「Crypto Valley(クリプトの谷)」とも呼ばれています。

仮想通貨に関する日本の税率改正はあり得る?

2023年7月31日、日本暗号資産取引業協会と日本暗号資産ビジネス協会が、「2024年度税制改正に関する要望書 」を提出しています。

要望の内容には、「分離課税」「法人税」「資産税」「暗号資産同士の交換」などが挙げられています。

要望骨子概要
分離課税暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する。
暗号資産デリバティブ取引についても同様とする。 
法人税ブロックチェーン技術を活用した起業等への阻害要因を除去し、Web3.0推進に向けた環境整備を図る観点から、法人(発行者以外の第三者)が短期売買目的以外で継続的に保有する暗号資産について、期末時価評価課税の対象外とするよう要望する。 
資産税相続により取得した暗号資産の譲渡時の譲渡原価の計算について、取得費加算の特例の対象とすることや、相続財産評価について、上場有価証券と同様、相続日の最終価格の他、相続日の属する月の過去3ヶ月の平均時価のうち、最も低い額を時価とすることを要望する。
暗号資産同士の交換暗号資産取引に関する損益は、暗号資産同士を交換したタイミングでは課税せず、保有する暗号資産を法定通貨に交換した時点でまとめて課税対象とすることの検討を要望する。

税率の引き下げや、損失の繰越控除の適用、課税のタイミングなどは、個人の投資家にとっても関係が深く、気になるところではないでしょうか。

現状の税率は重いといえる状況なので、今後改正されることを期待したいところです。

まとめ

日本の仮想通貨の税率は「最大で55%」にのぼり、重い負担となっているといえます。売却だけでなく、他の仮想通貨と交換した際にも税金がかかる点にも注意が必要です。

とはいえ、「申告しない」「税金を払わない」というわけにはいきません。たとえ海外の取引所を利用していても、日本に住んでいる場合には、日本の税法が適用されます。

ペナルティを課されないよう、仮想通貨取引で得た利益が20万円を超える場合は確定申告をしましょう。
仮想通貨に関する税金・確定申告については、下記記事で詳細にまとめていますので、こちらも参考にしてみてください。

仮想通貨(暗号資産)にかかる税金の仕組みを計算方法から確定申告の流れまでを税理士がわかりやすく解説!【2024年最新】

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