仮想通貨(暗号資産)にかかる税金の仕組みや確定申告の流れを解説

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仮想通貨の税金に関する基礎知識

他の投資と同様に、暗号資産(仮想通貨)への投資にも税金がかかります。
そのため、確定申告の必要もありますが、仮想通貨の税金に関するルールは少し特殊なものになっています。

まずは、2023年現在における仮想通貨の税金で覚えておきたい基礎的な部分を解説していきます。

仮想通貨取引で得た利益はどんな所得に該当する?

仮想通貨の取引で発生した所得は確定申告の際は「雑所得」として計算されます。
株やFXは利益を得た方法によって、「利子所得」や「配当所得」などにみなされることがありますが、仮想通貨においてはどのような利益でも雑所得になります。

雑所得として計算される仮想通貨の所得にかかる税金には、次のようなルールがあります。

  • 総合課税(給与所得などと合算)
  • 累進課税(所得が増えるほど税率が上がる)
  • 損益通算禁止(他の所得による利益と相殺不可)
  • 損失の繰越控除禁止(翌年以降の利益と相殺不可)

特に覚えておきたいのが累進課税の仕組みであり、これによって利益の半分以上が税金になることもあります。

ただ、利益のすべてが対象となるのではなく、通常の所得と同様に「収入から必要経費を差し引いたものが所得」になりますので、取引手数料や仮想通貨に関するセミナー参加費など、仮想通貨取引に関する必要経費を計上できれば、その分圧縮することも可能です。

仮想通貨取引でかかる税金の税率は?

仮想通貨取引でかかる税金の税率は、最大で55%にまで上ります。

まず、先述した雑所得の累進課税によって、税率が「5%~45%」の間で変化します。
実際の税率と控除額は次のようになります。

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え330万円以下10%97,500円
330万円を超え695万円以下20%427,500円
695万円を超え900万円以下23%636,000円
900万円を超え1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

この雑所得の税率に加えて、住民税と復興特別所得税が課されるため、最大で55%の税率になるといった仕組みです。

仮想通貨取引における課税対象となるケース

仮想通貨取引において、課税されるタイミングは下記のようなシチュエーションがあります。

  1. 仮想通貨を売却して日本円を得たとき
  2. 仮想通貨で商品やサービスを購入(決済)したとき
  3. 仮想通貨同士を交換したとき
  4. エアドロップや取引所のキャンペーンなど無償で仮想通貨を得たとき
  5. ハードフォークで新たな仮想通貨を得たとき
  6. マイニングによる報酬を得たとき
  7. ステーキングやレンディングによる報酬を得たとき
  8. 友人や家族など第三者に売却・利子付きの貸与・贈与目的で送金したとき

特に注意しておきたいのが、「仮想通貨同士の交換」「無償での報酬を得たとき」「第三者に条件付きで送金したとき」の3つです。

まず、仮想通貨同士の交換は、あらゆる通貨同士が対象になります。
たとえばビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)というような通常の仮想通貨だけではなく、テザー(USDT)などのステーブルコインを対象にした交換も該当します。

次にステーキングやレンディング、エアドロップなどで無償の報酬を得た場合は、その報酬を売却したタイミングではなく、報酬が付与されたときが課税のタイミングになります。

ただし、ハードフォークにより新規通貨を得た場合は異なります。
同じ無償で得た通貨ではありますが、こちらは「売却」もしくは「ハードフォークで得た仮想通貨を他の通貨に交換したとき」など、手放したときが課税対象となります。

最後に、送金するだけでも税金がかかるシチュエーションがいくつか存在します。

自分が管理する口座やウォレット間で、資産管理を目的とした送金であれ税金はかかりませんが、第三者への売却・利子付きの貸与・贈与を目的とした送金の場合は税金が発生することがあります。
特に贈与については金額次第で受け取った側にも税金がかかることもあるので、注意してください。

また、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)やIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)など、直接的な仮想通貨同士の交換ではなくても、送金した仮想通貨が後々別の通貨に変わる場合も同様です。

仮想通貨の税金を計算する方法

仮想通貨取引における年間利益を算出するには「総平均法」か「移動平均法」のどちらかを用いることになります。
ここで算出された利益から経費を除き、残った所得に税金がかかっていきます。

このうち、総平均法は「年内で購入した際の取引額を平均して、売却時の利益を算出する方法」で、移動平均法は「購入する度に取得額を平均して、年内の取引ごとに利益を算出する方法」になります。

年ごとに算出される所得額は変わりますが、最終的な所得は同じになりますので、どちらの計算方法を用いるかは取引の数や分かりやすさを基準に選ぶので問題ありません。
ただし、一度選んだ計算方法は以降変更することはできず、届出をしない限りは「総平均法」での算出になるということは覚えておいてください。

では、たとえば、1年間の間に次のような取引を行ったとして、それぞれの方法で計算してみましょう。

日付取引内容数量取引価格(万円)
1月1日購入2BTC50
3月31日購入1BTC80
5月15日売却1BTC85
7月3日購入1BTC90
9月20日売却3BTC100
12月29日購入1BTC110

また、下記記事では図解を用いてより分かりやすく計算の流れについて解説していますので、こちらも参考にしてみてください。

仮想通貨取引の移動平均法と総平均法の違いを図解でわかりやすく解説

総平均法による計算

総平均法で計算するときは、まず年内に行われた「購入」の取引をまとめます。
先ほどの例からまとめると、下記のようになります。

日付取引内容数量取引価格(万円)
1月1日購入2BTC50
3月31日購入1BTC80
7月3日購入1BTC90
12月29日購入1BTC110

ここで、すべての取引価格を数量で割ると、総平均法で用いる「平均取得価額」を算出できます。
例の場合は「(50*2+80+90+110)÷5=76」となり、BTCを1枚あたり「76万円」で購入したとなります。

これを今度は売却した取引と照らし合わせて、発生した損益を算出します。

日付取引内容数量取引価格(万円)実現損益(万円)
5月15日売却1BTC8585-76=9
9月20日売却3BTC100(100×3)-(76×3)=72

結果として、この年は「81万円の利益」が出たことになります。
また、残った1BTCは76万円で取得したとして、翌年に引き継ぐことになります。

移動平均法による計算

移動平均法で計算する場合は、取引の都度平均取得価額を計算することになります。

日付取引内容数量取引価格(万円)平均取得価額(万円)実現損益(万円)
1月1日購入2BTC5050なし
3月31日購入1BTC80(50*2+80)/3=60なし
5月15日売却1BTC856025
7月3日購入1BTC90(60*2+90)/3=70なし
9月20日売却3BTC10070(100*3)-(70+3)=90
12月29日購入1BTC110110なし

最終的には年間で「90万円の利益」が出たことになります。
また、9月20日時点で所有した分をすべて売却しているためにそれまでの取得価額はリセットされ、12月29日に購入した「110万円分の1BTC」がそのまま翌年に引き継がれます。

計算上は総平均法に比べて9万円利益が出ているように見えますが、今回は引き継いだ取得価額が高くなっているため、翌年は計算上の利益が少なくなる可能性があります。

仮想通貨の確定申告はどうする?

仮想通貨の確定申告については、一般的な「雑所得」の申告を行うのと同じです。
基本的な流れは次の通りです。

  1. 所得税の計算
  2. 経費計上
  3. 申告書の作成・提出もしくはインターネット(e-tax)での提出
  4. 納税

慣れていないと難しい作業のように感じますが、個人で確定申告することも不可能ではありません。
しかし、「所得税の計算」については取引が多ければ多いほど複雑なものとなり、手書きやエクセルで計算しようとするとミスが起こる可能性も高くなってきます。

そのため、日々の取引を都度控えたり、「Gtax」のように取引所からダウンロードした取引データを反映して計算結果を出せるようなツールを用いることをおすすめします。

仮想通貨の税金や確定申告に関するよくある質問

最後に、仮想通貨の税金や確定申告に関して、よくある疑問・質問をいくつかピックアップして解説していきます。

仮想通貨を保有するだけなら税金はかかりませんか?

ただ自分のウォレットや口座に保有するだけであれば、税金はかかりません。
しかし、海外取引所の中にはウォレットに置いておくだけでステーキングと同様に報酬が発生するものがあるため、こうしたサービスを利用している人は注意してください。

また、法人として仮想通貨を保有している場合、期末の段階で「含み益」が出ているのであれば「期末評価課税」が発生することがあります。

ただし、国税庁より2023年度の改正では、自社で発行した仮想通貨の含み益は評価対象外となり、2024年度においては他社発行の仮想通貨を対象外にすることが検討段階となっていますので、税制の変化に関する情報は追うようにしましょう。

仮想通貨取引による所得が20万円以下なら、確定申告は不要ですか?

ひとつの企業からの給与所得だけで、年末調整をしている一般的なサラリーマンであれば、仮想通貨取引による所得(雑所得)が20万円以下のときは申告しなくても問題ありません。

仮想通貨取引による所得が20万円以下でも申告する必要があるのは「副業として他の企業から給与所得を得ている場合」「年間収入が2,000万円以上の場合」「扶養対象であっても48万円以上の所得がある場合」の3パターンになります。

単純に「仮想通貨取引での所得が20万円以下だから確定申告はする必要がない」と考えるのではなく、他の所得や所得額によっては20万円以下でも申告しなければならないということは覚えておいてください。

申告漏れや所得額の計算ミスなどに関するペナルティはありますか?

確定申告の必要があるのにしなかった・金額を誤ったという場合、下記のようなペナルティが課されることがあります。

名称内容最大税率
延滞税期限までに正しい申告金額で納付出来ていなかった場合に加算最大14.6%
過少申告加算税納税額を少なくするような申告をしていた場合に加算最大15%
無申告加算税確定申告の必要があったにも関わらず、申告をしなかった場合に加算最大20%
重加算税故意的な脱税行為が発覚した場合に加算最大40%

特に仮想通貨は損益の計算が複雑になりやすいため、少なく申告してしまったり、作業が間に合わなかったりする可能性が高いため、予め普段から準備しておくことをおすすめします。

まとめ

仮想通貨(暗号資産)で得た利益は「雑所得」として、税金は最大で55%にまで上ります。
もし確定申告をしなければならないのにしなかった・少なく申告してしまったという場合、たとえ故意的でなくても税金が加算されてしまうこともあります。

また、仮想通貨に関する所得が20万円以下でも確定申告をしなければならないときもあり、常日頃から準備を進めておくのがおすすめです。

そのために、計算ツールで都度取引内容を控えておくなど効率的に進められるのがベストです。
「Gtax」では無料プランもありますので、現在は申告する必要がなくても一度触れてみて、試しに確定申告作業を体験してみてはいかがでしょうか。

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